「モチベーションは子供たちの笑顔、実は僕が一番元気をもらってた」
14年間体操のお兄さんを務めさせてもらったことは僕にとってとても大きな財産です。
実は、最初から体操のお兄さんになろうと目指していたわけではなかったんです。
大学卒業後、OBとして体操の研究室で助手として指導をしていたころ、大学の体操部あてに「体操のおにいさんのオーディション」の話が届きました。学生向けに来たお話だったので、僕は引率として同行しただけだったのですが、「せっかくだから受けてみる?」と声をかけてもらいまして。そしたら僕の選考がどんどん進んでいって、結果的に学生たちを押しのけて僕が勝ち残ってしまい今に至ります(笑)今思い返すと、運命に導かれたような感じがします。
体操のお兄さんになることが決まってからは、新しい体操の試作と練習を1か月ほどかけて準備しすぐに収録する、というスケジュールだったので、テレビ出演には慣れないまま初回がスタートしました。
どんな子供たちとの出会いがあるんだろうという期待をしつつも「僕と、新しい体操にも慣れてくれるだろうか」という不安がありました。でも、実際子供たちに初めて会ったとき、僕を素直に受け入れて楽しんで体操をやってくれて、不安はすぐに飛んでいきましたね。
収録では、初対面の子供たち30~40人と一緒に1時間を過ごすんですが、1日に3回収録だったので、本当に毎日たくさんの子供たちと接しながら体操しました。子供たちの中には、知らない場所で初めて親から離れて遊ぶという不安でいっぱいの子もいれば、人見知りの子やずっと動き回っている子がいたり、個性はそれぞれ。不安や緊張を感じて泣かない子がいない日はないし、子ども同士が喧嘩してしまったりすることも。
現場では毎日予想できないことが起きるので、収録が思うように進まなかったりすることは頻繁にありましたが、最初は緊張していた子供たちが、一緒に体操しはじめるとどんどん笑顔になっていってくれる様子をみて、実は、僕自身が一番元気をもらっていました。
体操のお兄さんとして14年間無欠勤でお仕事をすることができたのは、本当に子供たちのおかげ。子供たちが楽しんでくれている姿を原動力に長年務めさせていただいたな、と思っています。